村上さんのエッセイにはレイモンド・チャンドラー式の執筆方法が紹介されている。とにかく机にむかって2時間は座っていろと。辻さんはトーマス・マンの方法、すなわち毎日朝9時から12時までは机に向かって仕事をする、について書いている。実際に辻さんもそうしたらしい。そのトーマス・マンの魔の山にはセテムブリーニ氏の魅力的な下宿の魅力的な立ち机が出てくる。ワインバーグ先生の「文章読本」にも書くための名案(迷案も)が満載されている。モンテーニュ様の塔型の書斎にも(寒そうなのだが)憧れる。ちょっとずつ真似してみている。
書くべきものは小説やエッセイだけでなく研修のテキストや教案などたくさんある。とにかく質と量に関しあるレベルを達成しなければならない。仕事をするのは孤独で単調な仕事だ。でも続けているとライターズ・ハイ(ランナーズ・ハイの類推)みたいなものが襲ってくる。なんとなく麻薬的なところもある。(麻薬はやったことがないが。言葉のあやです。)
別の話ですが、このようにほとんど世間とは交渉がなく(たまの講師稼業以外は)本をよみ何かを書き続けるという「生活」に実は昔から憧れていた。学生時代はそれで下宿にこもっていたし、会社員になってからも本当はそうしたかった。できなかったけれど。結局人間は自分のやりたい事をやりだすものであるようだ。
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