2020年8月2日日曜日

世の中は変わらないというのは年寄りの妄想か

『共同幻想論』対談ビデオの書き起こし。今日で終るかと思ったら、作業中また腰が痛くなり、あと8分だけを残してやめてしまった。椅子の選択は大切だ。
ともかく、今回心に残ったところは……(文責 私)

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若い視聴者の「家族と社会が分断されているように感じています。むしろ社会というものの実感が自分にあるだろうかとさえ考えてしまうが?」という質問の答え。

「鹿島:
……個と国家っていうのは個を意識していれば国家を意識せざるを得ない。緊張関係にあるのですね。欧米の思想というのはすべてその緊張関係をたたえているわけですね。これは例外がないです。ところが日本的なものと言うのは、その緊張関係というものがない。ない核家族が、世界の端っこの方で、実際的には超便利社会、超文明的社会というものの中で、この核家族というものが、残存というか、それの先祖返りというか、それが僕は、結構問題なんじゃないかなあ、というのが私の答えです。

先崎:
……現代の日本社会というのは砂粒化(すなつぶか)と書いて砂粒化(さりゅうか)というのですが、個々がバラバラになっていった時代なのですね。戦後一貫してそうなのですが、加速度的になるのが90年代以降の、グローバル化、新自由主義化、規制緩和をやったことによって、加速度的になるのです……
そういった日本の社会の中で家族を超えた、天下国家にまで興味を抱いて行くというか、肌触りを感じるというのは、かなり難しい社会になっている。……」

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この質問は切実だし、回答もそのとおりだと思う。東日本大震災やコロナ禍の後の日本人がどのように変わるのか、変われるのかもこの問題を避けて通れない。多少悲観的にならざるを得ないのだが。




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大関から、序二段まで転落し、その原因の怪我と病気を克服して、再入幕した照ノ富士関が、千秋楽で勝って、33場所ぶりの復活優勝。療養中の人や挫折を経験した人には、嬉しいニュース。

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