2019年1月31日木曜日

装幀に込められた深い愛情

 朝、起床まえに寝床でiPadをもちいて、「月刊ALL REVIEWS」ノンフィクション部門第1回・アーカイブ」を観た。これは「ALL REVIEWS友の会」会員のみ観られる特典映像だ。
鹿島茂先生がメインパーソナリティで、今回のゲストスピーカーは原田マハさん。
 取り上げられた本は、フィリップ・フック、中山ゆかり訳の
『ならず者たちのギャラリー 誰が「名画」をつくりだしたのか?』(フィルムアート社)
https://allreviews.jp/review/2709
であった。

 この本が読みたくなるのはもちろんだが、話の終わりに紹介された本たちも超魅力的。

 中山ゆかりさんの訳本。二冊。
 (1)「美術品はなぜ盗まれるのか: ターナーを取り戻した学芸員の静かな闘い
 (2)「印象派はこうして世界を征服した
Amazonで見たら、他にも中山さん訳で面白そうな本がたくさんある。

 そして、原田マハさんの新刊。
常設展示室: Permanent Collection

これらは、なんとかして読まねばならない。またバックログが増えた。

***
 対談中に、ちょっとだけ本の装丁の話が出た。その文脈とは違うが、「装幀」という単語から栃折久美子さんの「モロッコ革の本」(1975年 筑摩書房)を連想した。この本は出版と同時に買って読んだ。ルリユールと呼ばれる装幀技術を単身渡欧して学んだ栃折さんの勇気に感心し、装幀という文化に憧れた。



 一方、同じ頃、森有正先生の著書をほぼ全部読み、こちらにはしびれるような尊敬の念を抱いていた。森先生の本の装幀は栃折さんが手がけたものが多い。深い青色の装幀の美しさに打たれた。森先生もあとがきなどで栃折さんの装幀に感謝の念を表明されていた。

「フィレンツェだより」
森有正全集


 後に、栃折さんの「森有正先生のこと」を読み、お二人の間のことを知って驚いた。そう思って、「モロッコ革の本」を読み返すと、実名は出てこないが森有正先生への深い思慕が記されているのに気づいた。栃折さんの思いが森先生の本の装幀の悲しいまでの美しさにあらわれていると思った。

 栃折さんはまだご存命かと思う。90歳になられているのではないだろうか。

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