2020年3月28日土曜日

沼野充義先生の最終講義は涙が出るほどスバラシイ

沼野充義(東京大学教授)最終講義「チェーホフとサハリンの美しいニヴフ人――村上春樹、大江健三郎からサンギまで」について。

16時からのYouTubeビデオライブを視聴した。スバラシイ最終講義だった。以下、印象をメモしておく。もちろん私の独自の解釈によるもの。



予習として、沼野先生の『チェーホフ――七分の絶望と三分の希望』の第10章「サハリンへ!」を読み、『1Q84』と『サハリン島』を参照しておいたが、これが大当たり。
https://hfukuchi.blogspot.com/2020/03/blog-post_24.html

実際にはもっと素晴らしく、ニブフの作家ウラジーミル・サンギのインタビュービデオも見せて頂き、その内容に涙が滲んだ。
これはYouTubeで観ていただきたい。まだ、一般公開されているはず。
https://youtu.be/R4pZueSRP0g

***

極めつけは沼野先生の以下のお言葉。

「どんなに恐ろしい同調圧力のもとにあっても、心のなかではそっと不同意の姿勢をつらぬくこと。そして、大声を張り上げなくても良い、小さな大事なものをそっと守り続けること。それはおそらく文学に携わるわれわれ全員の仕事ではないかと思います。」

「これを教え子のみなさんに伝えられたら、それだけで充分……」
***


最後に質問の時間もあった。最終講義で質問は珍しいだろう。

たくさんの質問のなかから、なんと私の質問が最初に選ばれた。光栄だった。

私の質問は

「沼野先生の今後のお仕事の方向性は?」というものだった。

お答えは2つあった。

ひとつめ。東大は定年になったが、名古屋外国語大学に行く。学長は亀山郁夫さん。
ふたつめ。研究に関して。好きなことつまり「書くこと」を続ける。
世界文学論のまとめは一区切りついた。(この本が4月に出る。)



これから、日本文学についてとロシア・東欧映画について今までの文章をまとめたい。
そして新たに、広く現代世界文学について考えていきたい。今日も触れたが記録文学についてまとめてみたい。たとえばスヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチや石牟礼道子や村上春樹について。

***

これはまた楽しみが増えそうだ。期待がふくらむ。

0 件のコメント: