2021年7月11日日曜日

書評の存在価値はまず読書案内

書評の存在価値を再度考えて見ることにした。


鹿島茂さんの著書で、題名が素敵な『歴史の風 書物の帆』(筑摩書房)、この本のまえがきにはいかに書評を書くかについての重要な示唆があり自分の巻頭言でも一度取り上げた。

https://allreviews.jp/review/1908

https://allreviews.jp/review/3680

あとがきには、「書評とは、書評する人間のほうが価値を評価される「人評」でもあるのだ。」とある。しそしてそのあとに、「書評集」の価値は「便利な読書案内」になるところともある。あるジャンルでまとまっていれば「思いのほか重宝な本になる」とも書いてある。読者が書店に見当たらない旧刊などの「本を注文で取り寄せるさいの参考資料になる」とも。

ARのジャンル別書評のページに、当該ジャンルの書評のありかたとえば書評集の書誌を紹介する手もあると気づく。そして、ARの書評を個別の読者の読書行動の好みに従って検索し提示出来るようにもしたい。たとえば、ある著者、ある書評家、あるジャンル、あるキーワード、ある時代・地域。経験豊かな書店主や図書館の司書が行ってくれるようなおすすめ機能も必要。ここにAIを入れる?

三中信宏さんの『読む・打つ・書く』では書評を書く(彼によると「打つ」)ことの効用が示されるが、そのなかには他の書評を「読む」ことも「作業工房」中で行うべきであると。

書評の役割の一つはブックガイドだろうが、高山宏『近代文化史入門 超英文学講義』(講談社学術文庫)の巻末には典型的なブックガイドが載っており、たくさんの書籍が紹介されている。この本を読み終えたら高山マジックによりこのブックガイドで列挙された本を読みたく=買いたくなるだろう。一般読者にとってはマニアックだが良書(と思える……)揃いで、少し前に出版されたいて近所の書店や地元図書館にもあまり置いていない。このブックガイドのような役割を、ARの書評(または書評のグループ)に担わせたい。

キュレーションだ。松岡正剛さんの千夜一夜のページ( https://1000ya.isis.ne.jp/ )のようなイメージ。この千夜一夜ページの域に達するのは不可能に近く大変だろうが、ゴールは同じかもしれない。

集団で作業することも考えて『共読する方法の学校 インタースコア』(春秋社)も参考にしたい。

ARの「関連(書評)記事」の作られ方も調べなくてはならない。

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