2021年10月13日水曜日

小松左京の『日本沈没』冒頭、荒れる深海底の壮大で美しい描写力に脱帽

朝から雨。少し寝不足で頭がぼやけるので、朝読書は省略して、起き抜けに風呂に入り、食事に移行。

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先の日曜日のTBSTVドラマ『日本沈没』を観ていらい、『日本沈没』で小松左京が何を問いかけたかったか、考えながら暮らしている。『日本沈没』の「完全版」はKindle版で買ってあるので、また拾い読みした。数年前に読みつつあったところからまた、読む。何度目かは忘れた。終末で傷ついた主人公と少女が助け合いながら逃げていく場面だ。日本が沈没したあとを書いて、主人公たちの行く先はわからない。第一部完、となっているので、本来『日本沈没』のテーマは日本社会の崩壊だけでなく、第二部のテーマであるらしい、日本という閉じられた社会を失った人々がどう振る舞うかも含めた、二段構えだったのだろう。

東北大震災で支払った多くの犠牲を考えて、小松左京は自分一人では二番目のテーマを書きにくくなり、グループを作って書き上げたというが、この前後で、彼が何をどう考えていたのかを知りたくなった。

今日、小松左京・谷甲州『日本沈没 第二部』(小学館文庫)、小松左京『小松左京自伝』(日本経済新聞社)を、図書館で借りてきた。上記の小松左京の問いを自分の問いにするための参考書としては最適だろう。


書斎の写真が小松左京の文章力の鍵となるかも

他に借りてきたのは、ブラッドベリの自伝的短編集『たんぽぽのお酒』(晶文社)。

余談ながら、『日本沈没』の冒頭の深海潜水艇からの荒れ狂う海底の眺望の描写は素晴らしい。画像で表現するよりずっとイメージ喚起力があり、しかもそのイメージが壮大で美しい。小松左京の才能の凄さがここだけでわかってしまう。分析して文章の書き方の勉強をしてみたい。

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