2019年12月23日月曜日

映画『空海-KU-KAI-美しき王妃の謎』を観て『四庫全書』を想う

映画『空海-KU-KAI-美しき王妃の謎』の続きを観終わる。

二時間程度の作品なので、もちろん夢枕獏さんの原作『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』のような雄大さはない。しかし、画面の美しさや、画像による表現の美しさはスバラシイ。妖術使いの化身である黒猫がなぜか可愛い。そして、楊貴妃を演じる台湾の女優さんがなんとも美しく、ストーリーを追うのが疎かになるほどだ。楊貴妃は豊満な方だったそうなのだが、彼女は痩身で背も高い。

空海(ほぼ狂言回し、ここが原作との大きな相違)と白居易が映画全編に出てくる。

白居易の『長恨歌』や『長恨歌伝』をインターネットや国会図書館デジタルでさがして読んでみた。短いし内容がわかっているので漢文ながら眺めているうちに意味がわかる(ような気になる)。なにより、漢字の活字の本だと字が大きいので老眼に優しい。

白居易が、宮中の書庫に入って行くシーンがあるのだが、棚が無数に並び、巻物のような形のものに今で言うタグがついている。



『長安の春』(平凡社)を出してきて、めくってみると、181頁に「唐代図書雑記」という文章が見つかった。唐の時代にはすでに本屋があったという書き出しだ。証拠として白楽天の弟の白行簡の小説だと言われる『李娃傅』の記述を挙げている。科挙の受験準備のために本を売っている店で必要な書物を買う話が出てくるそうだ。
(『長安の春』の書誌
https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I000001089817-00




この時代の本は殆ど巻子本つまり巻物。写本が多かったそうだ。そして配架時の工夫で象牙や骨製の「タグ」をつけていた。当然タグは内容によって色分けする工夫をしたらしい。玄宗皇帝時代の宮中の書庫でも当然そうしていた。書物は甲(経)乙(史)丙(子)丁(集)の分類とし、それぞれ紅、青、碧、白の色をつけておいた。それぞれに一つづつ庫があったそうだ。

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上記が『四庫全書』の名前の起こりなのだろう。私はあいかわらず、『四庫全書』を所有することに憧れている。神保町近くに住むのも憧れなのだが。

ところで、いま、四庫全書をInternet Archiveで読めるという記事を見つけた。
http://ealuoft.blogspot.com/2010/01/siku-quanshu-skqs-available-now-through.html
行ってみた。本当だった。

神保町に住まなくてはならぬ。

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