2020年7月28日火曜日

『蝸牛庵訪問記』(岩波書店)を読んでいると露伴の交友の広さがわかってくる

『共同幻想論』対談、今日文字起こししている最中に、感銘をうけたところ。(文責 私)

「鹿島:
これはね個人的な感想というか、記憶をたどるとですね、全共闘の学生が反帝国主義、反スターリニズムを掲げたわけですね。しかし反帝国主義と言う前に、家族帝国主義と戦わなければいけないというのが合言葉だったのです。つまり自分が全共闘の運動をやっているとなると、家族がやめろと、とんでもないことだ、と言う。家族とまず最初にぶつかるわけです。ヘルメットを隠しておくと、ヘルメットが見つかったら、なんだこれはというようにですね、どこの家庭でも親子の大喧嘩があって、あ、君、立派なことをやっているね是非行きたまえという家族は一つもない。むしろリベラルだと言われている家族であるほど逆に親子間対立というものが激しくありまして、そういうですね、あのしがらみを振り切ってきた、というのもある……
先崎:
確かに、スターリニズムっていう言葉は、多分先生の世代は二言目には言われていた言葉ですよね。けれども、今の僕らの世代ですと、それ自体が一体何なのかっていうことを、少し解説説明しないと分からないという思いで、この本(100分 de 名著)は最初の部分で工夫をして書いたつもりなのですけれども。」



「家族帝国主義」と「スターリニズム」は今でも、というか今のほうが巧妙な形で社会を歪めていると思える。コロナ禍であらわになった、現政権の不当さ、それ以前から若者や壮年の人々を蝕んでいる経済至上主義やグローバリズムはその顕著な現れだ。

わからないと嘆きながらでも吉本を読まないといけない。わかる時はなかなか来ないが、各人がわかろうと努力することで本来の自分自身を取り戻すことになる、そして新しい自分を。

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『蝸牛庵訪問記』(岩波書店)を読み続ける。幸福とは言えない生活の中で、書き続ける露伴。露伴は寺田寅彦(とその弟子中谷宇吉郎)や斎藤茂吉も好きだったらしい。『渋沢栄一伝』も書いている。露伴全集、また欲しくなってきた。とりあえず国会図書館デジタルで我慢。


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