2019年2月16日土曜日

『歩道橋の魔術師』(呉明益さん)は泣きたいくらい素晴らしい

 年金が出たので、床屋に行く。3900円で少しお高いが、2ヶ月に一度だけなので、なんとかなる。店主と気が合うので会話も弾む。そういえば、駅前の1000円床屋さんは、昨年末でお店を閉めていた。

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 床屋には午後2時に行ったが、その前後で『歩道橋の魔術師』(呉明益 天野健太郎訳 2015年 白水社)を読み終えた。先週読んだ同じ著者・訳者の『自転車泥棒』も良くできた小説だが、個人的には『歩道橋の魔術師』のほうが好き。



 「中華商場」を舞台に繰り広げられる、著者の幼時の思い出をベースにした幻想的でノスタルジックな短編の集まり。短編それぞれはゆるい結合を持った別々の作品。「魔術師」は複数のストーリーに顔を出す。

 昭和30年台に小学生だった私の記憶の感触と、1971年生まれの著者の思い出の感触が似ているのは、著者の筆力の為せる技だろう。普遍的なノスタルジー。

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 昨日の新聞に挟まれていた、神奈川県の公立高校共通入試問題の「国語」を眺めたら、原田マハさん(先日「月刊ALL REVIEWS友の会」で「お会いした」方)の『たゆたえども沈まず』が引用されていて、「ヘー」と思った。


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