2019年4月5日金曜日

『博士の愛した数式』はオモシロイね。


『博士の愛した数式』を読み終えた。その気になれば2時間ほどで読めそうだが、急いで読むのはもったいない。一日かけてゆっくり楽しんだ。

博士は80分で記憶をなくす。それを知っているが、正常な記憶の人になるべく迷惑をかけないように、控えめな質問しかしない。相手とのコミュニケーションのテーマは数学である。数学を真に理解しているので、記憶に頼らず、数についてはきちんと議論できる。

幅のある線分でなくて、真の「直線」は現実世界には存在しないが博士はそれはこころの中に有ると言う。

現実世界で必要とされる知識の最小限のものをメモにして背広にクリップどめしてある。主人公の家政婦のことも似顔絵(下手な)つきでメモに書いてある。しかし家政婦は毎回靴のサイズや電話番号を尋ねられる。それらの数字にユニークな意味があることを教えられて、家政婦は毎回喜んで同じ質問に答える。

メモだけでなく、大學ノートへの手書き原稿が、「仕事」への重要な支えである。しかし、苦労して成し遂げた難問の証明が、雑誌に受け入れられても、それは過ぎたこととして淡白な態度をとる。自分にできることは本当に小さなことで、人に褒められることとは思っていない。

タイガースの大ファンだが、試合は見たことがない。重視するのは成績の数字である。それと江夏の背番号28。28は2番めの完全数。(一番目は6だ。)家政婦は江夏のレアな野球カードを息子の√とともに捜し出して、プレゼントにする。

ほぼ理想的な頭腦の歳のとり方というべきだろう。

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ところでオイラーの公式がなぜ好きなのか…どこに書いてあった?

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映画も小説と同程度に素晴らしい。珍しい例だ。

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