2020年6月22日月曜日

メルヴィルとサガンどちらも飛んでいる



『書記バートルビー/漂流船』 (光文社古典新訳文庫) をKindle版そしてUnlimited扱いで入手し、『書記バートルビー』を読む。短いのですぐ読める。味わいはポール・オースターを連想させる。メルヴィルの面白さにあらためて脱帽する。するとかなり前に読んだ『白鯨』を読み返したくなったが、文庫本だし、どこに紛れ込んでいるか、すぐには思い出せないのでとりあえずやめておく。『書記バートルビー』は昨日読んだ『刑務所の読書クラブ』(原書房)のなかで、読書会の題材となりメンバーであるオジサマたちには不評だったもの。不条理な物語はお気に召さなかったのだろう。頷けるところもある。

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昨日はサガンの誕生日だった。1935年生まれ。自分よりは14歳年長。年長の姉より1歳だけ年上。もっと言うと辻邦生より10歳若い。少し背伸びすれば同時代の人と言ってもよかろう。スター性はあるのだが、翻訳を通じてながらものの考え方や文章の語り口をみると、親しみを覚える。わかる。『私自身のための優しい回想』(新潮文庫)を出してみた。「愛読書」が紹介されていて、『地上の糧』、『反抗的人間』、『イリュミナシオン』がまずあげられ、プルーストの『消え去ったアルベルチーヌ』もあげられている。『失われた時を求めて』は『アルベルチーヌ』から読むのが良いとのこと。
子供の頃に田舎での夏休みに本を読むくだりがあり、その様子には自分も同感する。よい本と出会ったときは、その読書環境が記憶に残り、本の内容と読書環境の記憶は切り離せないのだと。
サルトルも、誕生日は6月21日。サルトル最晩年にサガンが何度も夕食に付き合い、目の見えないサルトルの介助をしていた話には驚くと同時に涙を禁じえない。

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