2021年4月14日水曜日

1924年末、斎藤茂吉は榛名丸で帰国の途につく、船上で『魔の山』を読んだのなら面白いのだが

今日の「シュッツを聴く」プロジェクトの実績。

Schutz, H.: Kleiner Geistlichen Concerten
ゲルハルト・シュミット=ガーデン
56曲 • 3時間27分 • Dec 31, 1992

https://music.amazon.co.jp/albums/B004B97VUI


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『斎藤茂吉全集 第29巻 (日記1)』(岩波書店)を読みはじめる。

大正13年11月30日。留学を終えた茂吉は妻輝子とともに、榛名丸でマルセーユを出帆。

ストロンボリ火山、エトナ山、クリート島などを見ながら、帰途の航海を楽しんでいる。

日記のこの部分は、「日本歸航記」と名付けられて手帖に記入されたようだ。口絵に、12月9日の部分が写真版で収録されている。細かい几帳面な字で書かれており、船上から見える風景も丁寧に描かれている。学位も取り、余裕ある気持ちで日記もゆっくり書いたように見える。のんびりと書きつづり、船上の生活を歌人としての細かい観察の結果もしっかり書いてあるので、とにかく長い。インド洋上では何も特筆すべきことはないようなのだが、一日も休まず書き続けている。58頁まで我慢して読んだがやっと、シンガポールを発ったところだ。少し面白くなってきた。茂吉と輝子のキャラが立ってきた。

日本食が恋しかったらしく、すき焼きや刺し身が供されると、ご飯を5杯も6杯も食べる。見方によっては無神経であり、船に弱かったらしい輝子夫人にはこの面でも嫌われたらしい。もっと悪いことに、港で上陸し観光をする場合に妻と一緒に行動をしない。

日本に帰ってからの日記の頁を開けて眺めると、それほど長々とは書いていないので、少し安心して、もっと読み進めることに決めた。

大正13年は西暦でいうと1924年。『魔の山』が出版された年なのだが、マジメな茂吉はまだ読んでいなかったかも知れない。

この全集の目次はここにある。感謝したい。

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