2019年9月21日土曜日

『ぼくたちの七〇年代』(高平哲郎)から日本の衰退の一つの理由を読み取る



昨日、第二書棚(*)から三冊出してきた本。
(*)https://hfukuchi.blogspot.com/2019/09/all-reviews.html

このうち、『ぼくたちの七〇年代』(高平哲郎 2004年 晶文社)を読んだ、文体に多少違和感を感じたが、すぐに慣れて、興味深い内容に引き込まれて一気に読了。高平さんは二つ年上だが、ほぼ同時代に生きたので、話題にはすべてついていける。

植草さんつながりで、読んだので、雑誌『宝島』の出版の顛末は特に興味深い。『WonderLand』という当初の誌名が、登録されていないか特許庁に行って調べる。分厚いファイルを何冊もめくり、大丈夫という結論に達するが、甘かった。第二号を出した直後に世界文化社から、クレームが来る。誌名を『宝島』に変えることで話がついたのは不幸中の幸い。

凝った紙面。まず、『アサヒグラフ』と同じサイズ。活版の新聞活字の清刷をとって、写植のタイトルとともに台紙にはりこむ、という手間のかかることをやった。
サイズは『ローリングストーン』と同様のタブロイド判に近づけたかったから。そもそもこの『ローリングストーン』誌の日本版を出そうと、せっかく入社した広告会社をやめたのだが、版権が取れなかったという不幸がその前にあった。

『宝島』をなんとか六号まで出したが、オイルショックと紙不足で、晶文社が手を引き、あえなく「休刊」となる。その後、小型の『宝島』をなんとか、JICC出版の出資で出し続けたが、売れ行き不振となり、ついに編集から外れる。

他に、植草さんの晩年のエピソードも出てくる。死後に資料が大部分散逸したことも。仕方なかった。

タモリがブレークする前後の話もオモシロイ。

70年代の理想が、オイルショックなどの経済的理由で潰えていく。この悲しさを十分に描写してくれる本だ。

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夜、巨人は5年ぶりのリーグ優勝。

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ここ2日間、「ジョン・フィールド」に凝っている。夜想曲の創始者と言われている。夜想曲(18曲)とピアノ・コンチェルト(1から7まで)を聞いた。おおらかな感じがいい。のんびりしたショパンという感じ。

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