2019年9月6日金曜日

『「失われた時を求めて」の完読を求めて』はうまい題名

赤木曠児郎画伯の『アカギの版画パリ百景』旧版と新版(昨日いただいたもの)の違いを調べてみた。

(1)版画が5枚増えている。21世紀になってからの5枚。これらは皆、新境地の絵。
(2)解説文は日本文だけだったが、仏・英・日の3ヶ国語になった。
(3)図版が大きくかつカラーになった。
(4)本のサイズも大きくなり、ハードカバーにもなってより豪華になった。ただし定価も4倍になった。

この(4)の図版の大きさは効果的。見て楽しい本になった。

油絵はとても手が届かないが、版画なら将来手に入れられるかもしれない。貯金できれば…

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『「失われた時を求めて」の完読を求めて』を読み始めた。これを読むのには目的がある。高遠先生の訳本(Kindleで揃えた)と、他の訳本(例えば淀野・井上訳や持ってないが最近の岩波文庫本)と、フランス語原文とを比べながら、「スワン家のほうへ」の文章と遊ぶことだ。「読む」というと笑われそうなので、遊ぶ。

鹿島先生の今回の本の最初に、冒頭の「長い間…」の部分の解釈が書いてあり、まずそこで、なるほどと思った。不眠症の人間の半覚醒状態の朦朧とした意識を描くことにより、この後の文章にも曖昧性はあることを暗示しているとおっしゃっている。「確実」と呼ばれるようなことは、実は物語の世界だけでなく、我々の人生にもない、そしてそれらの本質は曖昧模糊としたものである…。これをハッキリさせたのが、従来の小説とはちがう、『失われた時を求めて』のスゴイところなのだ。オモシロイ。

『「失われた時を求めて」の完読を求めて』の読書をすすめるには、副読本が必要だ。
(1)高遠訳のKindle本(1から5)
(2)淀野・井上訳の「スワン家のほうへ」、筑摩の世界文学体系。
(3)吉川訳の岩波文庫版、これは図書館で借りる。1は中古で安いので必要なら購入。
(4)原文。Kindleで無料のものがある。
(5)直接には関わらないが、Internet Archiveでは伝記・解説も含めProust関連の数百冊の本が読める。この写真のような絵本なら、見るだけでも楽しい。
https://archive.org/details/MarcelProust-ALaRechercheDuTempsPerdu01-Combray/page/n3

(6)フランス語に関しては、学生時代の『英語からフランス語へ』(川本茂雄 1968年 第三書房)と辞書類を参照。
(7)(4)を見ているときに、iOS上では、フランス語を読み上げたり、各国語に翻訳したりしてくれるのでこれも使うとオモシロイかもしれない。

こう、書き並べると、いかにも格好いいが、最大の問題は時間を作れるか、そのうえで、面白がれるかである、と感じる。

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上弦の月と木星(?)が近づいて、珍しく晴れた夜空に輝いていた。もう沈んだけれど。

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