2019年9月23日月曜日

『瓦礫の中』読了。読む楽しさを再発見。

『瓦礫の中 (吉田健一著作集第十七巻)』(1980年 集英社)を読んだ。

今朝は少し早起き。5時50分から読みはじめ、途中中断はあるが、昼食前に読み終えた。久しぶりに、「読む楽しさ」を純粋に感じることが出来た。学生時代まではこの楽しさをいつも味わっていたような気がする。良い映画を観た後に感じるようなカタルシス。

ストーリーは単純だが、中で動いている登場人物が生き生きと動き会話する。終戦直後占領下の瓦礫の中での暮らしを描いているのだが、深刻ぶらず飄々と生きる人達が描かれる。(恵まれているからだと言うのは簡単だが、それだけが、彼らの豊かな生き様の理由ではない。)知識のみでない良い意味の「教養」がかれらの余裕の源泉なのだろう。米軍将校もその例外ではないので、「人間」として主人公と付き合っている。

もちろん、吉田健一の小説なので、なかで出てくるいろいろな酒を飲みたくてたまらなくなる。

この著作集は装幀が美しいだけでなく、しっかりしている。装幀家は栃折久美子だ。

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他の文章もよみたくなり、著作集の十六巻も借りる予約をした。

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