2021年8月15日日曜日

丸谷才一/大野晋『光る源氏の物語』は『源氏物語』に対するなんと900頁の書評本


丸谷才一/大野晋『光る源氏の物語 上下』(中公文庫)を昨日ご近所図書館で借りてきた。二人のやり取りが面白いということなのだが、期待以上の内容。

2冊で900頁以上あるが、これは全体で『源氏物語』の書評と言ってもいい。源氏物語というスケールの大きい著作の書評をしっかりやるには900頁でも足りないくらいなのだ。下巻に瀬戸内寂聴さんの解説がついており、「源氏物語を読んだことのない人にぜひ読んでもらいたい」とある。つまりこの本を読むと源氏物語に直接ぶつかるよりも取り付きやすい。なによりこの本は読んで面白い。「読んだ人には、これを読んで、いかに自分がかいなでにしか読んでいなかったかを、肝に銘じて欲しい」とも。単行本でこの『光る源氏の物語』が出たのが1989年、文庫化が1994年。この解説を書いたとき、寂聴さんは源氏物語の現代語訳をしていたのだろうか。おいおい調べたい。

まだ最初の部分しか読んでいないが、たしかに自分も「かいなで」にしか読んでいなかったと思う。学生時代から原文と与謝野晶子訳で一応通読はした。与謝野訳のごく一部は青空文庫のボランティア校正もした。谷崎訳と瀬戸内訳はほんの一部分だけ読んだだけのので当たり前かも。この本をきっかけにまた、原文(JKP)、ウェイリー版、林望さんの『謹訳源氏物語』も読んでみたい。各国語に訳されたものもできるだけ。そして『紫式部日記』もぜひ読みたい。

負け惜しみで言うと、このように「書評」は書評読者の読書宇宙を大いに拡大深化させるすごい効果がある。

宇宙といえば、瀬戸内寂聴訳の『源氏物語』の端本を捜したら、その横にしばらく見つからなかった『2001 filming the future』が見つかったので嬉しかった。これも丸谷/大野の書評本のもたらした効用。

今朝は、5時頃、大雨による避難指示通知がスマートフォンに届いて大きな音を出したので起こされた。昨夜はビデオ『シン・エヴァンゲリオン劇場版』を観て夜ふかししたのでつい二度寝して結局寝坊した。おかげで予定の『鼎談書評 三人で本を読む』の学習予定が一日伸びた。明日朝やるつもり。

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ところで、映画も原作本に対する映画監督による書評と捉えることが出来る。すると、ARに映画(評)のパートを設ける意味ができる。などと妄想。


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