2021年8月3日火曜日

書評集『打ちのめされるようなすごい本』(文春文庫)は書物宇宙に行くための宇宙船

 

米原万里の書評集『打ちのめされるようなすごい本』(文春文庫)を少しめくって見ただけなのに、打ちのめされそうになった。

最近は勉強のために書評集をよく読んでいる。あまりなじみのない書評家の書評集の場合、まずは、まえがき、目次、あとがき、索引、文庫本なら解説を読む。ここまでで、この書評家がどんな態度で書評を書いているかを知る。勉強中なのでメモを取る。その後、目をひく書評、愛読している著作家の本の書評を自分の判断で拾い読みしていくのが通常の手順なのだが、今回は違った。

巻末の解説で、丸谷才一が米原万里をベタ褒めしている。これはもちろん米原万里の赫々たる書評家経歴が物語るように、その書評が素晴らしく切れ味が良く丸谷才一が好きな「構え」の大きさがある、つまり文明批評になっているからだ。丸谷才一の『笹まくら』の書評が著者の目から見ても素晴らしいからでもある。ちなみにこの書評の題名は書評集の表題ともなっている。……

『笹まくら』はたしかに文庫本で読んだはずだがかなり(30年?)前なので筋を朧げにしか覚えていない。この書評にやや詳しく紀介してあるので思い出した。多分自分の覚えているよりも鮮明な「打ちのめされるような」記憶に塗り替えられて。

ここまで来て、読書の宇宙というコトバが頭に浮かぶ。米原万里が居て、丸谷才一が居て、この書評が書かれて、書評集の標題作になり、私がそれを手にとり、しかも昔まがりなりにも『笹まくら』を読んでいないと私にとっては成立しなかったのだが、どちらにせよ厳然として存在をしていた読書の宇宙があった。そのことに震えるような感動を覚えるし、その感動をもたらしてくれる「書評」という文章形態に感謝の念すら感じるのだ。

まだ下手な文章だが、これを書き直すと「書評の勉強」ページの材料になりそう。次回の巻頭言にもしたいぞ。

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ついでなので『井上ひさしの読書眼鏡』(中公文庫)も密林で注文してしまった。(『打ちのめされるようなすごい本』の書評を掲載している書評集。)

『丸谷才一全集』も日本の古本屋さんで注文しそうになったが、置き場所がないので思いとどまる。近所の図書館で借りる。(泣)。

『笹まくら』の文庫本は置き場所を奇跡的に思い出して無事に保護した。

書評宇宙船を使った読書空間疑似宇宙旅行は愉しいね。とTweet。

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BGMを聴きながら、もっと打ちのめされることにする。つまりもっと読む。

The Complete Flute Concertos
by Antonio Vivaldi; Jean-Pierre Rampal; I Solisti Veneti; Claudio Scimone
Columbia Masterworks (D3S 770)

https://archive.org/details/lp_the-complete-flute-concertos_antonio-vivaldi-jean-pierre-rampal-i-solis/disc1/01.01.+Concerto+No.+1+In+F+Major%2C+P.+261%2C+%22La+Tempesta+Di+Mare%22%3A+I+-+Allegro%3B+II+-+Largo%3B+III+-+Presto.mp3


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