2017年4月10日月曜日

松本清張は刑事のごとく空海を追いかける

 『密教の水源をみる』を久しぶりに紐解く。他の空海賛辞本にくらべ、辛口な推測が書かれている。

 「空海は私的な通訳として遣唐使藤原葛野麻呂に雇われて行った。正式な留学僧の立場でなかったが、持ち前の押しの強さで唐の朝廷や長安の仏教界に取り入った。帰国時にすぐ京にいけず大宰府に滞在したのは、身分が正式でなかったせいだ云々。」

 松本清張さんご本人の推理小説の泥臭い刑事のように、ゲンバに足を運び、自分の感覚で大胆な推測を述べる。



 ロマンという人もいるし、強引すぎるという人もいるだろう。私も読んでいるうちに微妙な気持ちになってきた。

 ともかく、20年ぶりくらいに読んでみると、彼の読んだ資料の幾つかは青空文庫や国会図書館デジタル文庫などで簡単に読めるようになっており、嬉しい限り。

 もっとも、ご本人は現地滞在中も本屋に行き資料の収集に余念ない。

 大宅壮一さんや司馬遼太郎さんや松本清張さんは、あるテーマを書こうとすると、そのテーマに関する本を「トラックいっぱい」買ったと言われる。インターネット時代の今でも、いわゆるスニーカーネットを大規模に金の力で行うこのやり方は有効と思う。

 夏目漱石が倫敦で「ほそぼそ」と、生活を切り詰めて大量の本を買ってきたらしいが、それはその後の日本の文化の発展に対して、彼の目論見以上に非常に有効だった。

 森鴎外はシベリア鉄道を有効活用しヨーロッパの新刊書物や新聞を数日で入手していたらしい(『椋鳥通信』=これは当時のTwitterだ(*^^*) )が、情報を早く大量に握るのが勝敗の分かれ目だ。

 クロード・シャノンも読みたくなってきた。でもその前にウィトゲンシュタインを何とかしないとね^^;

 我が家の桜はまだまだ綺麗!

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