2020年9月10日木曜日

『歴史の風 書物の帆』という題名にも惹かれた


鹿島茂さんの 『歴史の風 書物の帆』(小学館文庫)を読む。「まえがき」に書かれた書評論が素晴らしい。

エピグラムと、あとがきで堀江敏幸さんが称している、冒頭のベンヤミンによる警句の引用が、本に関する卓抜な概念を与えてくれて、うっとりする。

「弁証法的思想家にとって肝要なのは、世界史の風を帆に受けることである。思考するとは、こうした弁証法的思想家にとっては帆を張ることを意味する。どのようにその帆を張るかが重要なのだ。」(ベンヤミン 『パサージュ論』 今村仁司他訳)

歴史の風を受けるための道具が書物であり、書物というたくさんの帆の様子を、手早く記述するのが書評というカメラ。帆の様子をたくさん記述すれば、歴史の風がどのように吹いたかがわかってくる。つまり、書評集として書評をたくさん集めれば、歴史を理解するためのフィールド・ワークとなる。

この本そのものに関しては、来週のARメルマガ巻頭言で取り上げる予定。

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心配なことがあり、急遽三軒茶屋に向かったが、着く前に問題解決。安心して、皿うどんを食べた。一層美味しかった。




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