2020年9月17日木曜日

「孫を可愛がれば好きな研究の時間を奪われるがその分長生きすれば良い」と小金井良精は思っただろう

星新一の『祖父・小金井良精の記』かなり読み進めた。

定年退官したあとも、好きな研究(人類学)のために、発掘した人骨を自ら洗う生活を続ける。夜は遅くまで論文を読み、自分も書く。根っからの研究好き。土日もあまり休まない。ただし、夜ふかしはしない。



貧乏で、地味な研究者なのだが、名声は高い。他の有名人との交遊も多い。坪井正五郎(地球物理学者坪井忠二の父親)、ベルツなど。そしてもちろん、義理の兄森鷗外、たとえば、大正11年奈良に旅行し、国立博物館長だった鷗外と邂逅。アインシュタイン。

交遊ではないが、原敬首相が暗殺されたとき解剖に立ち会い、その自宅の質素なのにおどろく。

女婿、星一に息子ができ(大正15年9月5日)、可愛がる。二番目の孫だが同居していたこともあり、猫可愛がり。これが星新一。名付け親だ。星一は研究者ではないが、事業一筋の生き方に共感していたようだ。

星一の参考書はいくつか、国会図書館デジタルコレクションで読める。『百魔』、『星とフォード』など。



同じ星新一の『明治・父・アメリカ』は読んだが、『人民は弱し 官吏は強し』も読まなくてはいけない。

70歳で、御前講義。「本邦先住民族の研究」で、日本人の先祖にはアイノ(彼はそう記述していた)であったと述べる。若き天皇は興味深く聴いていたという。熊楠を連想させる。

昭和4年には八戸の是川遺跡の発掘調査にも行っている。

小金井良精の孫柿内信子は坂田昌一と結婚し京都住まい。もちろん、京都にも旅行する。後継者とみなしていたが、先に病んだ足立文太郎(人類学者『日本人の動脈系(ドイツ語)』)を見舞う。ちなみに足立の娘は、井上靖と結婚。

決して体が丈夫ではないが、小金井良精は節制しながら研究を続け、87歳まで長生きした。

ここまで読んで、わかったのは、節制しつつ好きな事(例えば研究)をこつこつ続ければ、長生きするだろうということ。

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ところで、本日午後、初孫が産まれた。男子3032グラム。先週は医師の見立て違いがあり、かなり心配したが、無事に誕生し、母子ともに健康のようだ。ありがたい。小金井良精におとらず猫可愛がりしそうだ。ひ孫ができるくらいまで長生きしたい。節制する。



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