2020年9月19日土曜日

日記読みは面白くてやめられない

『「斷腸亭」の経済学』の続き。

115頁。
大正8年からは発表作品も少なく、時代の行き詰まり的窮境。大正末期もひどい。しかし、大正15年、春陽堂が『荷風全集』の紙型を地震で失ったのを名目で重版してくれた。これで息を吹き返した。

118頁。
カフェーの女給にチップを渡す。これが女給の収入源。

131頁。
昭和2年から、金融大恐慌。大正12年の震災後のためダメージが大きい。

(今回のコロナ禍の影響による不景気も、東北大震災の傷跡の大きい地域ではダメージが大きいはずだ。考慮が不可欠。)

140頁。
大正12年の所得は4184円。これがこのころ半減している。それでも大卒初任給月50円から70円、よりは大きいが。

141頁。
救世主。円本ブーム。

143頁。
知恵を絞れば不況下でも(であるが故に)、大幅な売上増、収益増を招来できる証拠。

144頁。
当時の単行本や全集本の定価表。皆、円本より高い。

150頁。
改造社の巧妙なシステム。全集予約金は壱円。これで作家から出版許可を得る資金ができる。34万部予約が来た。

154頁。
春陽堂も追随。20万部。

156頁。
荷風の得た印税は計5万円。現在の金額でいうと5億円?

157頁。
昭和2年の所得は2万6千円。

170頁。
デフレ。昭和5年の所得は3360円。

***

上記は数日前に読んだ記録。

今朝からは、昨日世田谷区立図書館から借りた、『トーマス・マン日記 1946年ー1948年』を読み始めた。三年前から読みたくてジタバタしていたもの。

https://hfukuchi.blogspot.com/2017/09/blog-post_4.html

第2次世界大戦終了後、カリフォルニアにいた、トーマス・マンは共産主義に対するアレルギーで狂気に向かう米国の中で、居心地悪く感じながら、そして老いて(でも私と同じくらいの年だけれど)、体に、多くの故障(肺の膿瘍、歯痛、痔などなど)をかかえながら、『ファウストゥス博士』を書き続けている。



0 件のコメント: