2020年10月19日月曜日

『トーマス・マン日記 1949-1950』(紀伊國屋書店)を読み始める。いよいよ私の時代に。

昨日、三軒茶屋まで行き、世田谷区立図書館のカウンターで借りてきた『トーマス・マン日記 1949-1950』を読みはじめる。

インゲ・イェンスの書いた編者序文が秀逸。この巻に納められた1949年から1950年の日記の主題は2つ、トーマス・マンの青年への愛と、政治情況の悪化への対応。前者については日記本文に語らせ、後者については編者注でできるだけ補足すると言う。またかすかに見られる、マンの日記記述上の乱れについても述べられる。老いが忍び寄っている。

日記本文と索引も含めた編集上の苦労についても少し触れられている。コンピュータとインターネットが駆使されたらしい。

1949年1月1日。
新しいスイス製ノートブックに日記を書きはじめる。5月にはまたチューリヒに行く予定なのでまた同じノートブックが買えるであろう。

元日だが『選ばれし人』の執筆を再開、Kが風邪で寝ているせいもある。

1月3日。
「若いプリングスハイム」によると日本ではマンの本が人気。日本円で100万円の預金ができそうだが、円は間もなく暴落するだろうと書いている。

「訳者あとがき」も先に読んでおこう。この間のマンの動静がまとめてある。翻訳原稿の難しい校正についても、感謝の言葉がある。苦労がしのばれる。

定価14,000円はこれらを思えば安い。でも年金生活者には買えないのには変わりない。清水の舞台をとびおりてこそ、浮かぶ瀬もあるのだが……

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