2020年10月7日水曜日

「伯爵ロス」を癒やすには別の読書計画を考えるのが一番

『プルーストによる人生改善法』をもう少し読む。

33頁。
引用 『実際、あらゆる読者は本を読むあいだ、自分自身の読者なのだ。』

良い意味でも、悪い意味でもこれはあたっている。

43頁から44頁。
非常に長い文章の例。なんのために……

60頁。
引用 「これはプルースト的スローガンたりうる。『急がないで』。急がないことの利点のひとつは、世界がますますおもしろくなる可能性が生まれることだ。」

プルーストは、新聞や雑誌に載っている短信を好んだ。#簡潔な文章の裏に潜んだ、当事者たちの長い長い物語を想像して、楽しんでいたと思える。

鷗外の『椋鳥通信』を思い出した。まるで、Twitterの文章のような短い欧米の出来事を延々と、雑誌に発表した。これは楽しみというより、興味があったというのが正解だろう。留学中に垣間見てきた世界を、もっと理解したいという欲望。『椋鳥通信』は岩波文庫で3冊。まだ上巻しか読んでいない。索引があるかと『鴎外全集』の該当巻を借りようとしたが、まだ果たしていない。近いうちに借りたい。

『椋鳥通信』にはトーマス・マンも顔を出す。たとえば、岩波文庫版(上巻)の181頁。ベルリンでマンの「フィオレンツァ」が1909年12月9日に上演された。これを書きながら、鷗外は何を思っていたか。調べたい。日記と対照しよう。

などと考えた後、『文学こそ最高の教養である』をめくっていたら、フィッシャー書店でトーマス・マン全集の「批判的校訂版」を出しつつあると書いてあった。229頁。1974年のフィッシャー版の全集は新潮社版と同じく13巻だったそうだが、今回は大量の批判的校訂が一冊ずつ追加されて、しかも日記も追加されるので、三倍近くになるそうだ。作業量も膨大なので、2030年ごろまでかかりそうだという。すごい、欲しい。翻訳はまず出ないだろうし、出るとしても10年は余計にかかるだろう。2040年に出揃うという超楽観的憶測でも、私は90歳位になる。読めるかどうかかなり疑問。ドイツ語を習ってフィッシャーの「批判的校訂版」を読むほうが早道なのかもしれない。前向きに検討する。既刊の「フェーリクス・クルル」の現物をすぐ入手したい。


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朝、ARのしごと絡みで早起き。窓を開けたら、金星が輝いていた。それで思い立って、SFアンソロジー『スターシップ』のなかのブラッドベリ、「すべての夏をこの一日に」を思い出して読んでみた。金星の輝きはそれを覆う雲のせいだが、その下はいつも大雨で、7年に一時間しか太陽を見ることが出来ない。そこで暮らす子どもたちは……という話。金星の雲の下は大雨という発想はよく使われるようだ。たとえば、『金星の謎』も。

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