2022年6月22日水曜日

堀辰雄の蔵書目録と『稀書探訪』と〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉

『堀辰雄全集』が届きました。月曜日に神保町澤口書店さんで購入したものです。もちろん古書で2万円でした。送料込みの価格で、状態も良いので、良い買いものと思います。筑摩書房版です。


今どき全集か、と言われそうな気がします。この全集は1977年から刊行されたものですが、当時の私は入社5年目で忙しく転勤もあったりして、学生時代から好きだった堀辰雄の決定版とも言える全集を買って読む余裕がなかったのです。金銭的な余裕や時間的余裕だけでなく、精神的な余裕がなかったのが大きな理由でした。

45年後にこの全集を買うことができ、美しい装幀(岡鹿之助)の本を拾い読みしていると、若いころの自分が戻って来るような気がします。一方、この45年の生涯も愛おしく思えるのが不思議です。


別巻2の末尾に、堀多恵子さんの筆になる「蔵書目録」があります。新しく建てた書庫に本を分類して入れ、病床から堀多恵子さんに指示をして必要な本を持って来てもらうために、作られたものです。その「見出し」をながめると、最近手に入れた『稀書探訪』の序文に鹿島茂さんが書かれたことを思い出します。


「分類」によって「アルものを集めて、ナイものをつくり出す」という鹿島茂さんの考えと同じようなことが、はからずも堀辰雄の「蔵書目録」に見て取れるのです。

〈PASSAGE by ALL REVIEWS〉で、棚主さんたちが持ち寄った「アルもの」つまりいろいろな本たちが、360の書棚にあつまると今までこの世の中には存在しなかった「ナイもの」が、忽然とあらわれるのも同じことなのだなと、一人で感心しています。

夏風邪でこの2日間は寝たり起きたりしていましたが、明日からはもっとシンケンに読書をしたいものです。 

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