2018年10月26日金曜日

「帰ってきたヒトラー」は必見の映画

 「腕一本」(藤田嗣治 1984年 講談社)を読む。



 彼の書いたエッセイをまとめたもの。書きっぱなしに近い感じを出した達意の文章は軽快で、デッサンを思わせる。文章が練れていないと文句を言う人もあるかも知れない。

 彼の持論が展開される。いわく、先生の言うことだけ聞いているやつは大成しない。稚拙に見えても自分のオリジナルなものを出さないといけない…

 最初から名誉や金銭を望んで仕事する輩は、長続きしない…

 たとえば正面からみた鼻の描けない場合は、10日なり20日なりルーブルでそればかり注意して見て研究する。そうすればたいていの疑問は解決する…(オリジナルなことはその後で始めるのだろう。)

 もっとも自分の書きたい部分、膝のシワでも、そこから絵は描き始める。そこが描ければ、絵の大半は完成している。他の部分はその後書き足せばよい。このようにすると、「描けない」というスランプはなくなる…

 いちいち最もなことばかりだ。絵だけでなく仕事全般に通じるだろう。

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 読み終わった頃に、Twitterを眺めていたら、「帰ってきたヒトラー」がAmazonプライム・ビデオに降りてきたとの知らせがあった。早速、観た。非常に面白い。2回観た。(実は一回目は居眠りしながらみたのでよくわからないところがあった^^; )



 ここで風刺されているような、現代の社会の危うさ(いつヒトラーが復活してもおかしくない…)は、日本でもありそうだ。

 難民の苦難に目をつぶるドイツ人が、ヒトラーが噛まれてカッとなって子犬を撃ち殺したときに轟々たる非難を浴びせ、しかも動物愛護協会に寄付をしたと伝わると、犬の件を不問にふす。痛烈な批判である。

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