2017年10月2日月曜日

「カジョリ 初等数学史」(小倉金之助訳)は拾い読みが楽しいけど涙もでる

 「カジョリ 初等数学史 復刻版」(小倉金之助補訳 1997年 共立出版)は拾い読みが楽しいけど涙もでる。

 図書館本。昨夜から少しずつ読んでいる。



 最初の「原著者の略歴」に、1859年スイス生まれでコロラドカレッジの工学部長として忙しい思いをしていたカジョリを、1918年カリフォルニア大学が数学史の教授として招き11年間教育と研究発表のみをさせ、1929年からは名誉教授として研究発表のみにさせたが、カジョリは翌年肺炎でなくなった、とある。

 小倉金之助はこれを書きながら何を考えていただろうか。

 1917年の原著に、小倉金之助は多数の挿絵や写真を加え、訳注も大量に付け加えた。本文を理解しながら読むのも数学好きには楽しかろうが、絵をながめ、注釈で多数の科学者たちの来歴を読むのも楽しい。

 体の弱い小倉、表面的学歴の乏しさにより不遇の生活を強いられた小倉が、拠り所にしたのは学問への情熱であり、それを「書く」ことにより少しでも「健康」な生き方を確保しようとしたと思われる。

 こういう本は、図書館で借りて読み流すのでなく、身近において折に触れて拾い読みをするのに適している。3300円もするのでおいそれとは買えない。最近覚えたインターネット予約で図書館本を読む方法が次善の策か。

 なお、チェット・ベイカーがBGMとして向いている。今はYouTubeで聴きながらこれを書いております。

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