朝、『トーマス・マン日記』の続きを読む。
1919年8月4日の、旅行中の記述によると、7月28日付でボン大学の哲学部より名誉博士号が授与されている。マンは素直に喜んで、その後すぐベルリンで泊まったホテルの受付で「博士の称号を使用」している。
8月15日。
(『魔の山』)第4章の改稿を続行、プシビースラフの挿話、良し。8月31日。
今日の正午、市内へ行くため外出したとき、並木道で初めて秋の匂いがした。晴れているが、爽やかな日。
日記は途絶えがちだ。『魔の山』執筆に専念した?
9月17日にはある書店に行き、『魔の山』の一部(朝食からセテムブリーニの場面まで)を客に向けて朗読して、成功した事を喜んでいる。『魔の山』は時代遅れではないとの自信を得る。
9月末から自宅の暖房工事を避けるため、「フェルダフィング」(ホテル?)に14日間滞在。これもKの勧め。
自宅に戻り、新しい暖房装置を使うと暑すぎると贅沢な文句を言いながら、10月を終える。
***
高遠先生のWeb記事( http://www.webchikuma.jp/articles/-/837 )を読んで、岩本素白を知り、随筆を5篇ほど青空文庫で読んでみた。旅館に泊まったときに興奮して、せっかく用意した本がどうにも読めないという文章がなぜかしっくり来た。図書館で探して、随筆本を2冊予約。
全集三巻があるとのことだが、希少で手には入りそうもない。(後記:調べたら、古本屋さんで1万3000円だ、買えなくはない……)
国会図書館で、岩本堅一(本名)『日本文学の写実精神』を見つけて、随筆に関する章を読む。過去の随筆文学に関する深い研究の上に書かれたので、心を打つ随筆が書けたのだなあと感心した。
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1069498 |
感心していないで、自分でもそのような文章が書きたい。現実の具体的な事物に触れながら、上手に関連させて明晰に自分の考えを述べる。これは書評にも通ずる。
0 件のコメント:
コメントを投稿