『虞美人草』に関する論文をいくつか読んでみた。
藤尾は昔から読者に人気があったらしい。一方、詩的情趣はもっているものの、冷たい女だと生みの親の漱石は嫌っていたらしい。明治40年7月19日付けの小宮豊隆あての手紙には、
藤尾という女にそんな同情をもつてはいけない。あれは嫌な女だ。詩的であるが大人しくない。徳義心が欠乏した女である。あいつを仕舞に殺すのが一篇の主意である。うまく殺せなければ助けてやる。然し助かれば猶々藤尾なるものは駄目な人間になる。……小夜子といふ女の方がいくら可憐だか分りやしない。
と書いているのだが、これでは藤尾が可愛そうだ。でも漱石は内心は藤尾に敬意を持っていたのが、最終章の美しい描写でわかる。虞美人草という言葉も最終章でやっと出てくる。
『三四郎』の美禰子も藤尾に似ていると思うが、もっと同情をもって描いていると思う。
論文を読んでいると、『虞美人草』を皆いろいろに解釈しているので、興味深い。27型液晶ディスプレイをこたつの上(手前)に置いて、首までこたつに入って寝ながら読むのは、行儀が悪いが楽だし、内容が頭によく入る。やめられない。
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夕方、図書館に行って、『プルーストへの扉』と『この1冊、ここまで読むか! 超深掘り読書のススメ』を借りてきた。実はこの2冊はすでに自分で買って読んでいるのだが、良い本なのでぜひ地元の皆様にも読んでほしいと思い、先日図書館にリクエストして購入していただいた。私はすぐ図書館に返すので、大和市の方はどうぞ借り出していただきたい😊
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