2021年12月2日木曜日

自分の日記をもとに孫が伝記を書いてくれるなんて羨ましいぞ(星新一『祖父・小金井良精の記』)


巻頭言の原稿(第一稿)書いてみた。かなりの部分は以前のブログの焼き直し。

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星新一の『祖父・小金井良精の記』の書評(書評家は尾崎秀樹さん)をみかけたので、再読した。

https://allreviews.jp/review/5512

『祖父・小金井良精の記』とは、変な題名なのだが、最初の方で星新一が説明している。小金井良精は星新一の母方の祖父(で妻は森鷗外の妹喜美子)。若き日のドイツ医学留学の日々から晩年にいたるまで欠かさず日記をつけていた。それを探し出して、テーマごとに読みながらこの本の材料としている。この本は星新一が書いたものか小金井良精が書いたものか、判然としないということを題名の曖昧さで表している。

星新一らしく、短いストーリーの連続であり、非常に読みやすい。小金井良精と周囲の綺羅星のような人々(含む鷗外)が、この本の中で生き生きと動き回る。

長岡藩の幕末の悲劇のなかで子供時代を過ごした小金井良精は、東大医学部(の前身)を首席で出て、ドイツに留学、腎臓病をかかえながらも、ベルリン大学で助手として教鞭を取るまでになる。そのころドイツにやってきた森林太郎にも会っている。帰国して東大医学部の教授になる。賀古鶴所の紹介で鷗外の妹と結婚。賀古鶴所からドイツの鷗外に2人の結婚の承諾を求めると、即座に電報で認める旨の返事が戻ってきたという。

鷗外とは違い、医学の仕事一筋。解剖学を教え、人骨の研究も行う。三度目のドイツ訪問で購入してきた計算尺で研究の計算を夜中までやって倦むことがない。定年退官したあとも、好きな研究(人類学)のために、発掘した人骨を自ら洗う生活を続ける。夜は遅くまで論文を読み、自分も書く。根っからの研究好き。土日もあまり休まない。ただし、夜ふかしだけはしない。貧乏で、地味な研究者なのだが、名声は高い。

女婿、星一に息子ができ(大正15年9月5日)、可愛がる。二番目の孫だが同居していたこともあり、猫可愛がりしたようだ。これが星新一だ。

70歳で、御前講義。「本邦先住民族の研究」からの話を、若き天皇は興味深く聴いていたという。南方熊楠を連想させる。

決して体が丈夫ではなかったが、小金井良精は節制しながら研究を続け、昭和19年、87歳まで長生きした。

わざわざ再読した理由は、昨秋筆者にも初孫が生まれ、小金井良精と同様孫を「猫可愛がり」しているからだ。孫が年寄りをどのように見ているのか知りたいから。できれば星新一のように温かい目で見ていて欲しいという願望がある。(hiro)

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明日夜かなり修正する予定。

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