『獄中記』もそろそろ終りに近い。昨日、ブログを書いたあと、獄中で読書や勉強をした事例を考えてみた。
(1)「花燃ゆ」で紹介された吉田松陰の「野山獄」での読書(『野山獄読書記』)と、同獄の人への「教育」(『講孟余話』)。
(2)モンテ・クリスト伯で、エドモン・ダンテスが、ファリャ神父から受けた全人的教育。(これは小説だが、それだけに教育内容がスゴイ。)
(3)大杉栄、彼の『獄中記』(青空文庫にある)によると、「一獄一語」。一回入獄すると(1年位で)一つの外国語をマスターする。
不自由な中で、その不自由さに負けず、自分を鍛える偉人の精神力には参る。自分だったら絶対にできそうもない。
佐藤優さんの『獄中記』にもどる、さすがに一年をすぎると、体力が衰えてきているようだ。精神力はそれほどでもないが、ひところの覇気はやはり見られない。でも筆は冴える。
2003年1月1日の記述
「元旦の配給品 ○紅白まんじゅう ○折り詰め...」
の他に朝食、昼食、夕食も盛り沢山。配給品にようかんもあるのが、羨ましい。(酒の代わりだろう。他の刑務所などでも元日にようかんをはじめとする甘いものはつきものと聞いた。)
2月13日の記述
「(...フロマートカが、ルターの極端な主観主義にまでさかのぼらないとナチズムを解明できないと考えました。ちなみにヒトラーはルターを崇拝していました)」
ここは目から鱗。
7月5日の記述
「ソ連崩壊後、資本主義に対抗する有力なシステムはなくなった...資本主義と社会主義は対抗イデオロギーとして議論がかみ合っていたが...」
なるほど、日本でも同じことは起きていますな。
8月8日の記述
「『はじめての唯識』は実によくできた入門書だ。」
この前後を読んでいると、フロイトやユングやカントなどますたーしたくなってしまう。「唯識論」はちょっと歯がたたないかも。
などなど。
巻末に獄中で読んだ書籍の一覧があるが、それを見るまでもなく、(見ると大変なことになりそうだが)勉強のヒントがたくさん発見できた。
ところで、これも紹介があったが、『監獄の誕生』(フーコー)という本があり、どこかで見たなと思いちょっと捜したら、玄関のそばの廊下の本棚にあった。これも息子の蔵書。後世おそるべしとはこのことだ。ありがたく、借りてよむことにします\(^o^)/
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