2016年11月27日日曜日

寺田寅彦の勉強をつづけよう。大池昭二先生のことも。

 初冬の薄ら寒い曇り日。読書に最適。
 最近ハマっている寺田寅彦先生の周囲を調べる。

 リーゼ・マイトナーを主題に、核兵器開発にのめり込む科学者群像を描いた『二億電子ボルト』は読み終えた。リーゼは核兵器開発には手を染めなかったが、彼女の周囲の科学者の多くは、ナチスやソビエトへの対抗手段という名目に騙されて、結果として熱・冷戦の戦争協力をしてしまう。科学者の戦争協力についてはもっと調べる必要がある。
 一方、寺田先生の学問的な業績についての知識が少ないので、これに関しても調べを始めたいと思った。

 まずは弟子の中谷宇吉郎さんや坪井忠二さんのご意見を伺おうと彼らの著作をあたる。(もちろん、KindleやiBooksで無料本を手始めにする。)
 iBooksで多分青空文庫をベースとした、中谷さんの随筆があったので読んでみる。そのなかに「指導者としての寺田先生」という文章がある。1935年になくなった直後に寺田寅彦を悼む文章だ。寺田寅彦がいかに辛抱強く弟子を育成したかを繰り返し記述している。

 このなかに、「形の物理学」というコトバが出てくる。火花放電の形状をじっくり見ることにより、まだ良くわからない放電現象への知見が出てくるだろうというお話。これはもう少し突き詰めて勉強してみたいことである。分析第一主義に陥りやすい「科学」者への戒めなのだが、科学者でなく一般の現代の人々にも、ためになる話となるだろう。森有正先生の「体験」にたいする「経験」の重要性の話にも通じる(と思う)。寺田先生の「ルクレチウス」に関する文章も関連しそうなので、調べよう。すると、ルクレチウスの本も発掘しないといけない。うーん。辛い(つまり楽しい)!

 そういえば、ベルリンで会ったと思われるラウエの業績(結晶のX線回折)を紹介し、発展させようとしたのも寺田先生であった。X線回折像には学生時代魅了されていたし、卒業実験でも回折現象を取り扱ったのだが、その後はご無沙汰していた。これを機会にまた勉強し直すのも一興であろう。

 坪井忠ニさんについてだが、岩波全書の『地球物理学』の序文に、この本の前身の『地球物理学』の著者の寺田先生の回想が載っている。



 『地球物理学』を読んでいたら、突然、高校時代の地学の恩師でクラス担任をしていただいた、大池昭二先生のことを思い出した。ニックネームは「皇太子」、これは先生の人柄の良さを表していた。地学のていねいな講義はいまでもありありと目に浮かぶ。若くしてお亡くなりになられたと聞いていたが、詳しいことは知らなかった。

 思い立って、調べたら、訃報記事がすぐ見つかった。やはり、われわれが思っていたとおりの、優しいそして学問への情熱を背中で生徒に教えてくれる先生だった。

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