2016年11月28日月曜日

ルクレチウスと、ラウエと、興味の対象ははてしなく増える

 寺田寅彦先生の「ルクレチウスと科学」を斜め読みする。ここでは原子論(物質の基本単位は原子。寺田は現代の原子と区別するため元子と表記している)の、嚆矢としてのルクレチウスを紹介するとともに、広く自然哲学者としてのルクレチウスを紹介している。
 途中に「しかし無限の空虚の中にいかにしてある「中心」が存在し、かつ支持されうるかという論難は、ニウトン以前の当時の学者には答えられなかったであろうのみならず、現在においても実は決して徹底的には明瞭に答え難いものである。」という一句がある。(iBooks版、寺田寅彦全集)

 この文章が発表されたのは昭和4年(1929年)であるらしいから、ハッブルが島宇宙の光の赤方偏移から、宇宙の大きさとその拡大を唱える以前に書かれた。寺田寅彦はこのへんの論争をもちろん知っていたので、「徹底的には明瞭に答え難い」と表現したのだと思う。

 ルクレチウスの言説は自然一般に渡っているが、寺田寅彦は現在の学者の専門に閉じこもりがちな傾向をやんわりと批判しようとして、この随筆を描いたと思われる。
 このあたりのことを、科学論文ではどう書いているか知りたい。寺田寅彦全集科学編を買うのもいいが、高いのでまずは現物を見てから。とりあえずは、インターネットで論文をあさる。



 寺田寅彦先生がベルリンでであったはずの、X線回折のラウエ先生。実際の生涯のことは知らなかったが、少しだけググってみたら、波乱万丈(もちろんナチスへの反抗)であることに驚いた。これも調べてみます。うーん。ドイツ語をもっとしっかりやっておけばよかったなあ。ドイツ語通訳をやっている友人に相談しようかしら。

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