『トーマス・マン日記』を読み進める。
『欺かれた女』の執筆が終了した。しばらくは、家族、もちろんフリードを含む、との生活を楽しむ。復活祭の休暇。放心。春。そしてローマ法王に謁見。イタリアの勲章ももらい、有頂天。このため、また『クルル』の執筆から遠ざかるのかも。しかし、ローマでの経験は『クルル』の中でリスボンでの国王との謁見のシーンに生かされている。さすが、トーマス・マン。
1953年4月7日。
仕事を失った感じ。『クルル』には気が湧かない。ほかのものは、五里霧中すぎて、核心がない。おそらく気力に欠けているのだ。エラスムスとルターが私を最も惹きつける。
4月8日。
晩、ベートーヴェンの短いが、晴れやかな交響曲第8番。
4月10日。
『クルル』を継続することが経済的に得策ということについてKと話すが、しかし私は『クルル』への不安をもつ。しかしルター=エラスムスの件はまだまったく何の中核もない。――『クルル』の原稿を見直す。第3部第6章、第7章を読み返す。博物館訪問の部分にはやはりかなり満足。
4月11日。
刑務所の資料はおそらく残念なことにパシフィク・パリセーズに残してきたようだ。しかしこの問題はまだ先の話だ。――『クルル』の資料に取り組む。書きつづけよ、ということだ。
トリスタンのLPレコード。気分爽快になる。
4月12日。
『クルル』第3部第8章を書き始める。
4月13日。
8時起床。天候は薄曇で涼しい。電気ストーブ。――新しい章をためらいながら書き進める。
4月15日。
冬への逆戻り。降雪。
4月16日。
夜、かゆみの苦痛、アルコールで鎮める。
4月18日。
アッカデーミアから、私的な謁見の件で手続きが始められたという電報。
4月20日。
旅の準備完了。1時ちょっと過ぎに昼食をとり、ほぼ2時ごろ私たちはエーリカと、(チューリヒ)市内を避けて空港まで車で行くつもり。
5月1日。
ローマ見物の後、4月29日、ピオ12世に特別謁見。
精神的社会における『ファウストゥス博士』と『選ばれし人』の名声。イタリア共和国大統領によるイタリア功労勲章の授与。
すばらしいフェーンの天候の当地チューリヒに帰着。市は魅力的。青空、進行する春。一面の新緑、花が咲き、チューリップ。
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Kindleで、DeepLを便利に使う方法を教わった。
この記事。
「Kindle Cloud Readerで洋書を読む時にDeepL翻訳を使う」
たとえば、こうなる。翻訳済文は手直ししてある。
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