2020年12月11日金曜日

老いたトーマス・マンは権威に強かったが、別の権威には弱かった


『トーマス・マン日記』を朝一番に読む。

ローマ訪問の余韻はこの1953年5月中、続いている。上機嫌で、健康状態も概ね良い。『クルル』執筆も再開したが、ルターの調査に「浮気」もしている。二兎を追うもの一兎をも得ず、なのだが。

1953年5月2日、エルレンバハ。
長いあいだなかったような上機嫌で目が覚める。春の恵み。なお二、三回はこの季節を味わいたいものだ!『欺かれた女』第2部の校正刷りを読む。書き改める。晩『運命の力』(ヴェルディ)。感受力を最高に集中して耳を傾ける。愉しい。最上の響き。

5月4日。
夜かゆみで睡眠を妨げられる。市内で散髪し、豪華な名刺(# !?)を注文。やはりルター研究をふたたび取りあげたい。

5月5日。
ペイントンの『ルターの生涯』を読む。

5月6日。
かなり疲労。

5月10日。(# 私は4歳。)
寒い。雨の強風。直腸付近の傷み。

5月12日。
Kの具合がよくない。コーヒーも朝食もとらずにまたベッドヘ逆戻り。心配。

5月13日。
Kのレントゲン検査。何もなくてほっとする。

5月14日。
Kは健康になる。

(# 『ルター』の1シーンを考えたりしているような記述がある。)

5月15日。
澄んで晴れた空。『クルル』の原稿と取り組む。第3部第6章を読み直し、浄書を校正。先へ進むことにする。

5月16日。
美しい天候。

『クルル』長篇小説を模索しながら先へ書き進める。

5月17日。
『クルル』第3部第8章を少し書き進める。

5月18日。
『クルル』の章を少し書き進める。直腸の痛み。皮膚科へ。

5月19日。
長篇小説『クルル』を書き進める。きわめてだるく、不活発で、やる気も信念もない。「一番いいのは……だろう」という考えがしばしば押し寄せる。

5月20日。
少し風邪をひく。美しい天候が続く。ふすま浴。

5月23日。
フリード到着。

5月26日。
真の神の朝。この季節ほど美しく住むことができるときはない。

***

古いディスクを持ち出して、USBアダプターを付けて、中身を覗いてみるという遊びをしてしまった。ディレクトリとファイルをツリー構造で見たいのだが、簡単なツールが見つからない。コマンドラインで動かす「tree」というのがあるそうで、それをインストールし、ツリー構造をたどるところまで行った。あとは、構造図をテキストかHTMLに落としたい。時間切れになったので、明日以降に回す。

こういうことをやっていると時間がいくらあってもたりない。

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ARメルマガ巻頭言の半年分の総集編を、noteにまとめ始めた。treeをいじっていなければ、今日中に目鼻がついたはずだが、まだ、緒についただけ。明日はこちらを優先させる。

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