2020年12月5日土曜日

『トーマス・マン日記』第8巻、読了


1952年12月8日。
カタル悪化。朝気管がひどくあれる。医師の診療。

お茶にウースター・ソースをかけた卵。(#怒っているらしい!)

短編小説を少し書き進める。

12月9日。
エーリカがスイス市民権を得るよう主張。気詰まり。

12月10日。
『欺かれた女』をKとエーリカに朗読。生き生きした同意に深く慰められる。

12月12日。
Kと話し合い、私が非米活動委員会に召喚されたら、アメリカ市民権は投げ出すことを決定。

12月14日。
Kはエルレンバハ(の新居)に監督に行く。私の書棚は据えられていた。

12月16日。
チャプリン(#ママ)もスイスに定住するつもりだという。

12月19日。
パシフィク・パリセーズの家に新たな買い提案。50,000ドル。新車フィアットを購入。私の老化、人生の疲労、本来の絶望状態にあってなお新居のためにこれだけ苦労する甲斐があるのか?絶えず自聞する。

(夕方)家屋購入提案受け入れの決定。

12月20日。
スイスの外国人証明書。

12月22日。
短編小説を数行書き進める。

12月23日。
Kとエーリカにより引越は続く。

12月24日。

夜、荷物を山と積み込んだ車で出発。フォリコーン経由でエルレンバハへ。

12月25日、エルレンバハ。
きのう遅く新居に致着。星の輝く穏やかな夕ベの天候。湖と山々がよく見える。

夜、風邪が悪化。

12月27日。
Kは(#この家がアメリカ式でなく使いにくいことに)不満。

12月29日。
短編小説と取り組む。

冒頭に『クルル』の章(第3部第4章)を配した「ノイエ・ルントシャウ」。

12月30日。
コーヒー、入浴、卵二つの目玉焼き。短編小説に少し手をつける。午後、市内へ出かけ、散髪と洗髪。

(#規則正しい生活が戻った。)

12月31日。
短編小説を少し書き進める。Kと美しい森の道を散歩。ムージルの『特性のない男』の新版を読む。

このあとの「諸記録」も読みたいが、次の機会にまわす。

訳者あとがき(2008年7月7日付)に森川さんはマン(1951年の)と同じ76歳になり、気力が衰えて巻の刊行が予定より遅れたことを謝られている。そしてアメリカのファシズム化への怒りも。

読了とする。(また読めるだろうか。)

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