『トーマス・マン日記』を読み続ける。
79歳誕生日の晩餐会ではほんの少ししか食べられず、疲れる。エーリカは病院から手紙を送った。Kはその朝まだあと1、2年一緒にいたいとの言葉をかける。「わが末路は絶望」というシェイクスピア、「テンペスト」のプロスペロの言葉が頭をよぎる。
1954年6月11日、キルヒベルク。
気分が集中できず、無駄に過ごしたここ数日の、混乱した、ぼろぼろの、負担の重すぎる、苦しい生活。何百ものお祝いのあいさつに応えるべく印刷礼状はがきを注文。6月16日。
映画館で『ローマのカーニヴァル』ひじょうに感じがよい。初めてプリマス車で行く。(# 注によるとワイラーの『ローマの休日』のことらしい。)6月18日。
限りない郵便の重荷、礼状を片付ける。6月19日。
フィッシャーから『クルル』最終校。この巻は400と40数ページになる。結末が恥ずかしいほど弱い。……ヒルシャーのものすごく博学な原稿を読む。ルターに対する意識しなかったいろいろな関係(創世記に関する説教)にあっと驚く。当時の私の法外な研究・吸収能力についても驚きは大きい。6月21日。
私はこの無益な、空虚な日記を続けることを、私の現在の哀れな存在に対する恥じらいから、中止すべきであろう。6月23日。
『クルル』完成後のベルマンから、慰めある熱狂と確信ある手紙。この本はわれわれの怪しげな時代のまんなかを射ている、という。7月4日。
日記に私は吐き気がする。すべてのものに吐き気がするのと同じだ。また積もった仕事のために朝の時間を節約する。7月5日。
午前チェーホフ論を書き進める。7月19日。
カトヤは最近短いあいだに三度目の重い風邪を引く。カトヤにはたぶんカリフォルニアが必要。7月15日。
背中の痛み再発。7月23日。
「南ドイツ放送」のため『鉄道事故』を朗読。7月24日。
Kの71歳の誕生日。
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放送大学のインターネット公開番組。しばらくチェックしていなかった。今日調べたら、2020年付の講義がかなり増えていたのに気づいた。とりあえず、「場と時間空間の物理(’20)」を観ることにする。進行は黒田有彩さん。
https://v.ouj.ac.jp/view/ouj/#/navi/vod?ca=30015
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